報告その1「最果ての鉄路に未来はあるか―日高線を事例に学ぶ“夕張線”の存続問題―」勉強会

遅くなりましたが、先日16日に開催した「最果ての鉄路に未来はあるか―日高線を事例に学ぶ“夕張線”の存続問題―」勉強会のご報告です。
あまりに内容が濃いため、2回に分けて掲載します。
上手くまとまっていない部分もありますがご了承ください。

日高線の現状

新夕張駅に掲示されていた、日高線運休・バス代行輸送を案内するポスター

新夕張駅に掲示されている、日高線運休・バス代行輸送を案内するポスター

武藤さんには、まず最初に話題提供として、日高線の現状についてお話をいただきました。

日高線の現状

  • 日高線は147km、29駅ある。(夕張市内は最盛期には20くらい駅があったことを考えると、いかに狭い範囲に集中して市街地が形成されていたかがわかります)
  • 現在は鵡川〜様似間116kmが運休となっており、これは29駅中の25駅にあたる。
  • JRからは当初、26億円かけて2019年に復旧という見通しが示されたのですが、あまりに先なのでくじけそうなムードが漂ったとのこと。
  • その後、国・道・JRの三者協議が開かれ、国が10億円の負担を提案。
  • しかし沿線自治体の協議会でJRが求めてきたのは、自治体の費用負担。しかも復旧にかかる費用ではなく、運行にかかる費用の負担。廃止したいという意向が見え隠れしている。現時点では、38億円まで増大している。
  • 日高が最初にやってしまうと、前例を作ったことになってしまう…

「鉄道は公共財」

2016-02-16 18.40.57

武藤さんから示された視点の一つは、公共財としての鉄道をどう考えるかということでした。

先日、JR北海道がすべての路線で赤字だというデータが公表されましたが、赤字路線すなわち廃止という論理だと、JR北海道自体が存続できないという論理破綻になってしまいます。

公共交通としての鉄道は、高校生の通学、高齢者の通院の足として重要な役割を担っていますが、現在の日高線代行バスでは、所要時間が延び、定時性が損なわれています。
一度に輸送できる人数や、ステップや通路の狭さなど、高齢者にとって利用しにくいという不満もあるようです。
バスの場合、通学用定期券の負担も増えるのですが、それを自治体が補助したとしても、結果的に沿線全体の費用負担が増加する結果になるのです。

では鉄道ではなく、高速道路を延ばせばいいのではないかという声もありますが、鉄道復旧費用は38億円に対し、高速道路を1km延ばすには50億円かかるそうです。この数字を見ると、車の方が便利がいいからと、単純に鉄道をなくしてしまえということにはならないですよね。

公共財としての鉄道を守るためには、税金負担が必要となってくるでしょう。

観光・広域利用の視点

もう一点は、観光/広域利用の視点です。
札幌~浦河の場合は車やバスが利用しやすいのですが、新千歳空港となると、途端に車以外の交通手段が不便になります。
バスは4時間で1日1便だけ、JRは3時間半で1日5便。

車を持たない道外や海外からの観光客を浦河に呼び込もうと思っても、十分なアクセス手段がないのです。
鉄道が必要な人は、沿線住民だけではないということは、重要な指摘だと思いました。

「本当に鉄道は必要なのか?」という議論は必要なのか?

今回の参加者は、市内外から20代から80代までまんべんない年齢層。
「私が一番JRに乗ってる」という方や、「普段は乗らないけど飲み会の時は最終列車を利用する」という方など、さまざまな視点から意見を述べ合うことができました。

夕張の事情

  • 夕張の場合路線が短く、道路と鉄道はほとんど並行して走っている。
    (単純に競争したら車と鉄道はほぼ同じ速さ。実際に武藤さんがJRに乗り、私が車で夕張〜新夕張を走ってみました)かつ影響するのはほぼ夕張市一市のみ。
  • そのため、「なぜ鉄道が大切なのか」という議論を巻き起こしていくことは、夕張でも難しい問題で、実際声としても上がってこない。
  • 通院・通学に困るというが、「誰が困っているのか」はっきり見えてこない(夕張の場合、市内外の病院による送迎バスがかなり充実しているということもある)
  • 高校生の通学の足という点では、現在夕張高校には、わずかながら市外から通学している生徒がいるとのこと。今後高校の存続のために特色ある教育を打ち出そうとしており、他市町から生徒を受け入れるようになると、通学の足として鉄道がないのは非常に不利。
  • 「自分だったら具体的に何が困るか」という観点では
    • 鉄道の減便で飲み会帰りに使う列車がなくなる。タクシーに乗ると、夕張から紅葉山まで6000円もかかってしまうので、誰かが車で送迎する必要がある。飲めなくなると、飲食業の人も困る。
    • 山の中という地形で、鉄道やバスや高速道路など、複数の選択肢があるから安心できている。
  • などが挙げられました。

個人の感覚ではいまいち必要性を訴えるには薄く、地域として何を訴えていくべきなのか。
そこで参加者の間から出てきたのは、のちに武藤さんが「夕張らしいし、夕張以外ではできない発想」と後で武藤さんが語った意見、「鉄道そのものに文化財的価値がある」ということでした。

 

その2へつづく

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