夕張市民文化祭「トリーと夕張の交流」

10月23日〜11月3日に開催される「夕張市民文化祭2021」で、スコットランドアバディーン市トリー地区のみなさんと相互に人と景観を紹介し合うInstagramのプロジェクト「トリーと夕張の交流」を展示しています。

年齢・性別・職業などを考慮しながら、偏りがないように選んだ12組の地域で活躍するみなさんの姿と思いを、40cm四方のタイル状に48点並べました。実際に、登場した方から「圧巻」と言ってもらえて、とてもうれしく思いました。
展示場所はホール入口の上という、一番目立つところをいただきました。500点に及ぶ市民の作品とともに、両地の人々の力強さが伝わる展示になったと思います。

国際交流という聞こえの良い言葉を振りかざそうとは思いませんが、とにかく、遠い国で同じ時間を生きている人たちの姿に触れることで、自分たちの足元を見つめ直すことにつながればと思います。
また、おそらくどちらのまちも外部からの目線が厳しい部分があるまちと言えます。市民自らが発信するまちの本来の姿が伝わったら幸いです。

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キュレーター メイボン尚子より

両地の交流は2018年、メイボン尚子(スコットランド在住キュレーター)と佐藤真奈美(一般社団法人 清水沢プロジェクト 代表)がお互いのまちを訪問したことを機に始まりました。炭鉱のまちとして栄えた北海道・夕張市と、石油・ガスのまちとして栄えてきたスコットランド・アバディーン市という、遠く離れた二地域をつなぐ文化交流の試みです。

2019年には「アバディーン // 夕張」と題し、お互いのまちの風景をテーマに、アバディーン市の南に位置し昔はアバディーンから独立した漁村でもあったトリー地区や、夕張市立ゆうばり小学校に通う子どもたちなど、各地域に関わる人々と協力し版画作品を制作しました。完成作品は夕張市清水沢地区公民館とオールド・トリー・コミュニティー・センターにて発表され、両市や協力機関に寄贈されました。


新型コロナウィルス感染拡大により世界中で移動や人同士の接触が制限されている現状に応えながらも「規模は小さくとも未来に長く続く二都市間の交流」を可能な範囲で継続させるべく、この度オールド・トリー・コミュニティー・センターの主導で「トリー・エコミュージアム・プロジェクト」がスタートし、その一環として夕張とトリー間の写真とインスタグラムを使った交流を行いました。
「エコミュージアム」は地域そのものを「まち中まるごと博物館」と捉え、地域内外の人々の参加や実体験を通じ地域遺産やそれへの記憶・理解・誇りを共に守り育てていくような活動です。これは清水沢プロジェクトがこれまで長く掲げてきた活動方針で、今回の「トリー・エコミュージアム・プロジェクト」はそこから着想を得ています。


2021年1月から両都市で毎月1〜2名ずつ、地域に関わる方にご自分の近影と、その方が好きな自分のまちの風景写真を撮影・選択してもらいました。近影は「自分のまちを紹介する一言」を書いた紙を持って撮影してもらいました。
それらの写真はオールド・トリー・コミュニティー・センターのインスタグラムにアップされ、ウェブサイトやソーシャルメディアで「#TorryYubari」のハッシュタグとともに広くシェアされました。そして夕張市では10月23日〜11月3日開催の夕張市民文化祭で、トリー地区では11月6日のTorry Ecomuseum Project Celebratory Open Dayで、それらの写真が展示されます。

地球の裏側に位置しながらも、エネルギー産業にまつわる似た背景から成り立つ2つの地域には実際どんな人が関わっていて、どんな風景のなかで生活を営んでいるのか。それをお金や労力を極力かけず、緩やかな速度で紹介していく試みです。これにより物理的な移動や接触の制限がある時流にフレキシブルに対応しながらも依然大いに国際的で創造的な文化交流のかたちを提示する機会になればと願う次第です。